ダイヤモンドのカット技術の進化
ダイヤモンドのカットと言えば、現在はラウンド・ブリリアント・カットが代表的です。 ラウンド・ブリリアント・カットは、ダイヤモンドのまばゆい輝きを最大限に引き出すカット技術ですが、これが登場したのは20世紀になってからのことです。
ダイヤモンドが古代ローマ人に求められていたのは…?
インドでは紀元前からダイヤモンドの採取が行われていました。
古代インドからローマ帝国に持ち込まれたダイヤモンドは正八面体でほぼ原石のままの状態でした。当時はダイヤモンドに輝きを求めたわけではないのです。ダイヤモンドは他の何よりも硬い物質で、ダイヤモンドを使えば他の石でも青銅でも切ることができました。
古代ローマ人は、ダイヤモンドはどんなものでも切り裂けると考え、輝きではなく、その神秘的な力に魅せられたのです。
その美しさから、あらゆるカット方法が続々と!
ダイヤモンドの輝きが着目されるようになるのは、14世紀に入ってからのことです。14世紀の後半にダイヤモンドの研磨師がパリやヴェネチアで登場するのです。当時の研磨師はダイヤモンドを様々な形にカットすることを試みました。
15世紀になると、八面体の頂点を平面にカットしたテーブルカットと呼ばれる技術が登場します。15世紀半ばには200種類以上のカットが存在していたようです。
16世紀後半にはローズカットも登場します。ローズカットは、裏側を平面にし、表面がバラのつぼみのような形をしたカットです。ローズカットは、電灯が発明される以前に開発されたカットで、ろうそくの光で控えめに輝くカットでした。
これが、さらに輝きを追求したブリリアント・カットにつながるのです。
輝きを科学的に計算したブリリアント・カットの誕生
17世紀に入ると、ダイヤモンドは南アフリカから大量に運ばれてくるようになり、注目が高くなりました。研磨師たちは輝きを追い求め、ついに上部に17個のクラウンが付いた34面体のマザラン・カットが誕生します。これがブリリアント・カットの原型になりました。
その後、ベネチアの研磨職人であったヴィンセント・ペルッツィが、58の研磨面を持つオールド・マイン・カットを編み出します。58面カットは、現在のラウンド・ブリリアント・カットと同じです。
19世紀に入ると電灯が発明され、ダイヤモンドにさらなる輝きが求められます。そして1919年、マルセル・トルコフスキーにより、ダイヤモンドの輝きを科学的に計算したラウンド・ブリリアント・カットが生み出されます。これが現在のブリリアント・カットのベースであり、進化を続けているのです。