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ローマ時代のダイヤモンドは宝石の扱いではなかった

カットダイヤモンド

ダイヤモンドの価値の高まり

中世のヨーロッパにおけるルネッサンスの時代には、真珠、エメラルド、ルビー、サファイアなどを用いた華やかなジュエリーが、貴族など特権階級の間で活躍していました。今ではすっかり宝石の主役となっているダイヤモンドは、この時代には、実はまだ脇役でしかありませんでした。
この頃のダイヤモンドの価値はルビーやエメラルドなどと比べると格段に低く、価格はルビーの8分の1以下だったそうです。

その後、宝石のカット技術が少しずつ進歩する中で、1700年頃にダイヤモンドの「ラウンドブリリアントカット」が開発されます。ダイヤモンドの輝きを追求した優美なこのカットがヨーロッパの社交界に受け入れられ、これを境についにダイヤモンドは宝石の主役の座についたというわけです。

とはいえ、ダイヤモンドも鉱物としては古くから知られていました。
明確にダイヤモンドについて書かれた最古の記録は、ローマ時代の「プリニウスの博物誌」です。この中でダイヤモンドは、鉄などと同様に硬質な物質を表す「アダマス」の一種に分類されていました。そして、「アダマス」の語源が「征服されないもの」、「無敵のもの」というギリシャ語であることが記述されています。この「アダマス」という言葉がダイヤモンドの語源とされています。

この時代には、ダイヤモンドは宝石という位置づけではなかったようです。
古代ギリシャ人はダイヤモンドを、天から落ちてきた星のカケラと信じていましたが、その後のローマ人も、ダイヤモンドにまつわる多くの迷信を信じました。
当時のダイヤモンドの原産国はインドです。未知の国からはるばる運ばれてきた、とても珍しい「征服されない無敵の硬い石」に、古代ローマの人々は神秘性や魔性を感じたのでしょう。「お守り」や「魔よけ」として使ったのです。
当時のダイヤモンドはカットされることなく、正八面体の結晶のまま使われました。

そのころの迷信では、ダイヤモンドには作物や家庭を天災や災難から守る力があるとされていました。ダイヤモンドを身に着けていれば、火事や病気、悪霊や盗難などからも身を守ることができるともいわれました。蛇や毒からも守られると考えたようです。
さらには、ダイヤモンドの粉を飲むと病気に効く、患部にはダイヤモンドをおし当てるなど、病気や怪我の治療にも良いと考えられていました。
こうした考えは、キリスト教の時代に入ると単なる迷信として切り捨てられていきました。

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