世界最大のダイヤ産地ロシアとロシアの女帝エカテリーナ2世
現在、世界でもっともダイヤモンドを産出している国はロシアです。2011年度データで全世界で1億3500万カラットの産出量のうち、ロシアは約4分の1を産出し、世界第1位です。このダイヤモンド世界第1位のダイヤ王国のロシアには、王国の名にふさわしいダイヤモンドにまつわる物語がロシア王朝に君臨した女帝エカテリーナ2世にあります。どのような物語なのかみていきましょう。
ロシアのロマノフ王朝とダイヤモンドを含むエカテリーナ2世
エカテリーナ2世は、ドイツから王朝の皇太子に嫁入りしますが、皇太子は人間的に問題がある人物で、皇太子より優れているエカテリーナ2世を嫌います。しかし、エカテリーナ2世は自分の味方を徐々に増やしていき、ついには皇帝の位につき、戦争や外交でロシアの領土拡大を推し進め、ロマノフ王朝の絶頂期を築きます。
その女帝の愛人であったと言われる伯爵のオルロフ公は、女帝の不興を買い嫌われます。再度、女帝に取り入りたくて、女帝の興味を引くために、約190カラットの超巨大なブルーがかった色のダイヤモンドを財産をはたいて購入し贈ります。エカテリーナ2世は、喜び、このダイヤモンドを「オルロフ」と名づけます。しかし、オルロフ公が望んだような希望はかなわず、そのためかどうか、オルロフ公は狂い死にしたと言われています。
ロマノフ王朝の財宝が眠るエルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館は、アメリカのメトロポリタン美術館、フランスのルーヴル美術館と並んで世界三大美術館の1つです。そのエルミタージュ美術館の基礎をつくったのはエカテリーナ2世で、エルミタージュと呼ぶ建物をつくって、そこに絵画や宝石などを置いたことが始まりとなり、名前もそのまま使われ今日に至っています。
エカテリーナ2世だけが集めたわけではないですが、ロシア革命で、ロマノフ王朝が崩壊したとき、約2万500カラットのダイヤモンド、約4000カラットのエメラルドや約6000カラットの真珠などの宝石があったと言われています。エルミタージュ美術館には、ダイヤモンドの間や黄金の間と呼ばれる部屋があり、多くのダイヤモンドを含む宝石や財宝が展示されています。なお、有名な巨大ダイヤモンドの「オルロフ」は、サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館ではなくモスクワにあるクレムリンの宝物庫に展示されています。大きさは、約32×35×31ミリでローズカットのダイヤモンドです。
ダイヤモンドをはじめ宝石を愛したエカテリーナ2世ですが、彼女の時代のロシアでは、ダイヤモンドがあることは発見されていませんでした。もし、知っていればダイヤモンドの保有量は、考えられないほどの量になった可能性があります。