南アフリカのダイヤモンドラッシュ
今では主要なダイヤモンド産出国として名高い南アフリカですが、この地で最初にダイヤモンドが発見されたのは、1867年のことでした。オレンジ川で農夫の息子が拾った石がそれです。21.5カラットあったこの石は、農夫の知人であるニカルクによって売却され「ユーレカ」という名がつけられました。
ダイヤモンドラッシュのきっかけは、次の発見で
それから3年たった1869年、二番目の発見があります。今度は羊飼いの男がやはりオレンジ川でダイヤモンドを拾うのです。羊飼いは石をニカルクに見せます。3年前の経験から、それがダイヤモンドであると判断したニカルクは、なんと全財産(数百頭の羊や牛)で羊飼いからこの石を買い取ります。
ニカルクは、83.5カラットあったこの石を、実業家のグループに売却することに成功しました。
そのダイヤモンドは後に、「スター・オブ・サウス・アフリカ(南アフリカの星)」として有名になります。
現在「スター・オブ・サウス・アフリカ」は、ダイヤモンド産業の頂点に立つデビアス社が所有しています。
そしてこの「スター・オブ・サウス・アフリカ」の発見が、南アフリカのダイヤモンドラッシュの引き金となったのです。
この地でダイヤモンドが発見されたという噂は、南アフリカのみならず世界中に広がり、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどからも、一攫千金を夢見た人たちが押し寄せました。
ダイヤモンド鉱床が発見される
当初、ダイヤモンドの採取はオレンジ川とバール川の川沿いで行われていましたが、1870年、内陸部の農場で50カラットのダイヤモンドが見つかります。これをきっかけにダイヤモンド採取の中心は内陸部に移動します。
これがダイヤモンド鉱山の発見につながります。
この土地は、かつて活動していた火山の上だったのです。
当初、農場の所有者は採掘者たちから手数料を徴収し、所有地内のダイヤモンド採取を許可していましたが、次々に採掘者が訪れてくるため、やがて手に負えなくなります。こうして農場は鉱山会社に売られていったのです。
有名なデビアス鉱山もそうした鉱山のひとつです。このダイヤモンド鉱床は、デビアス家の所有する農場で発見されたことから、その名をとって「デビアス鉱山」とされたというわです。
当時のダイヤモンド採取の現場は劣悪な環境だったようで、採掘者たちは、水なども不足する土地にテント村をつくり、一攫千金を夢見て働きました。砂煙が舞い上がりハエの群がる現場は、夏には気温40度を超え、冬には氷点下の寒さになったそうです。