アフリカ諸国の内戦を深刻化させた「紛争ダイヤモンド」

「紛争ダイヤモンド」と呼ばれる国際問題はご存知ですか?
アフリカなどの内戦地域から産出されて非合法に取り引きされたダイヤモンドのことを指す言葉で、1990年代の後半にNGO(非政府組織)の活動によってその存在が明らかにされました。「コンフリクト・ダイヤモンド」、「血塗られたダイヤモンド」などと呼ばれることもあります。
明らかにされた紛争ダイヤモンドとは?
ダイヤモンドは多くの産出国にとって外貨獲得の貴重な資源となっています。ところが、内戦状態にある国から産出されたダイヤモンドの売却で得た外貨が、武器調達の資金として使われ、紛争を長期化・深刻化させる要因のひとつになっていたのです。
特に内戦地域の反政府組織にとって、ダイヤモンド原石をはじめとする鉱物資源が武器購入の貴重な資金源となりました。
ダイヤモンド鉱山を武力制圧し、近隣住民を酷使して原石を採掘させるなどのことが行われ、人道上の問題として、広く取り上げられました。
こうした内戦を早期に終結させるためには、国際社会が連携して、その当事者に外貨を流入させないような対策をとるべきとされています。
紛争を長期化・深刻化を防ぐために
ダイヤモンド産業界もこうした事態を重く受け止めました。ダイヤモンド産業界は2000年に世界ダイヤモンド会議を開催し、「紛争ダイヤモンド」の流通を排除するための方策を検討します。そして2002年に、国連や各国政府とも連携した、「キンバリー・プロセス」と呼ばれる制度をスタートさせることになったのです。
2000年当時に「紛争ダイヤモンド」は、世界のダイヤモンド流通量の4%ほど存在していたとされます。各国政府や、ダイヤモンド産業界が連携した「キンバリー・プロセス」などの努力によって、今では「紛争ダイヤモンド」の流通量は1%にも満たないレベルにまで減少させることができました。
日本が輸入しているダイヤモンドは、「キンバリー・プロセス」を厳守する国からのものであるため、「紛争ダイヤモンド」の流通は、ほとんどゼロに近いといわれています。
紛争ダイヤモンドを完全になくす戦いは、これからも続くのです
「紛争ダイヤモンド」の存在が問題となった国は、アンゴラ、コンゴ(ザイール)、シエラレオーネ、ブルキナファソ、ザンビア、ルワンダ、ウガンダなど、アフリカ諸国です。
現在では、このうちほとんどの国で内戦が沈静化しました。それにともない、これらの国々のダイヤモンドの禁輸措置も次第に解除されています。
現在でも「紛争ダイヤモンド」として排除されているものは、コートジボアール産のダイヤモンドのみとなっています。