ウィリアム王子の婚約指輪とジュエリーリサイクル

2011年4月29日にロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われたイギリスのウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤルウェディングは、世界中の人々を魅了しました。 二人は、2010年10月にケニヤでの休暇中に婚約したそうですが、この休暇中に贈った婚約指輪は、王子の母である故ダイアナ妃の形見でした。12カラットのセイロン産のサファイアの周りを14個のダイヤモンドで縁取ったこの指輪は、チャールズ皇太子がダイアナ妃に贈った婚約指輪だったのだそうです。
兄弟の約束「どちらか先に結婚するほうが妃に送ろう」
王室御用達の宝石商・ ガラードから購入したこの指輪は、ダイアナ妃のために特別にデザインされたものではなかったのですが、ダイアナ妃は離婚後もこの指輪を愛用していました。
ダイアナ妃が亡くなった後は、形見としてハリー王子がこの指輪を所有していました。
しかし兄弟は、「先に結婚するほうが、この指輪を婚約指輪に使おう」との約束を交わしていて、兄であるウィリアム王子がプロポーズをすることを知ったハリー王子が、指輪を兄に進呈したのだそうです。
日本とヨーロッパの婚約指輪の違い
さて、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国では、ジュエリーは様々な形でリサイクル・リユースされます。ジュエリーとしての価値が残っている品物はそのまま再販されます。アンティークジュエリーの市場も活発で、消費者から買い取られたジュエリーが溢れかえっています。
デザインなどが古くなってしまったものは、リフォーム(作り替え)されることも多く、イギリスのロイヤルファミリーのジュエリーの多くは、こうしたリフォームされた品なのだそうです。
婚約指輪も、日本では給料の何倍もの新品を買うのが一般的ですが、ヨーロッパでは、家族代々受け継ぐのが普通です。
ジュエリーには多様な価値が備わっていて、残存価値が高い品物です。そのため、ヨーロッパでは、様々な二次市場が形成されているのです。
日本もジュエリーのリサイクル文化拡大傾向
日本でジュエリー市場が本格化したのは、1960年代後半、高度成長期の頃からです。当時は日本人が保有する宝飾品はわずかな量しか存在しなかったため、消費者はもっぱら新品のジュエリーを購入するのみでした。
日本でジュエリーのリサイクルが本格化したのは、2000年代後半からです。経済成長が停滞し景気が後退する環境の中で、世界の貴金属価格が高騰したことが要因として挙げられます。
マスコミなどで取り上げられたこともあり、ジュエリーリサイクルは一種のブームになりました。
ジュエリーリサイクルの市場は今後しばらく、現状と同程度か若干の拡大傾向で推移するものと予想されています。
日本も徐々にヨーロッパのようなリサイクル・リユースの文化が定着していくのかも知れません。