ダイヤモンドには人為的に色を着けられたものが存在する

人工カラーのダイヤモンドとは
カラーダイヤモンドには、天然色のものと人工的に色を着けられたものとが存在します。
一般にファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれているのは、ダイヤモンド鉱山から採掘された時点ですでに色の着いている天然色のダイヤモンドで、色合いが鮮やかで大粒のものは非常に高額になります。
一方で人工的に色を着けられたダイヤモンドも流通しています。これは現在では、天然のものと識別をすることができ、当然ですが評価はファンシーカラーダイヤモンドと比べ低いものとなってしまいます。
人工的にカラーを着けたダイヤモンドの一種に、「コーティングダイヤモンド」があります。
ダイヤモンドの表面にコーティング処理を施したもので、2007年頃から流通しはじめたようです。金属や樹脂の皮膜をコーティングするのですが、使い込むうちに次第に膜がはがれて色落ちしてしまいます。
放射線処理を施すことによりカラーを着けられたダイヤモンドもあります。
鉱山から採掘されるダイヤモンドのほとんどは、茶褐色や黄色の商品価値の低いダイヤモンドです。そうした安価なダイヤモンドに放射線を照射することで、カラーダイヤモンドを得ることができるのです。
ダイヤモンドが生成される地球の地下深くでは、ダイヤモンドが何百万年もの長期間、放射性物質と接触することで色が着くことがあるといわれています。この現象を人為的に短時間で行ってしまうのが、この手法です。
流通しているブルーダイヤモンドやグリーンダイヤモンドの多くが、天然のファンシーカラーダイヤモンドでなく、放射線照射による人工カラーのダイヤモンドであるといわれています。
さらに、安価で大量に存在する褐色のダイヤモンドに、超高圧の環境で熱処理を施すことで、カラーを変化させたダイヤモンドも存在します。
HPHT(高温高圧)プロセスと呼ばれる技術です。
天然のダイヤモンドは、地球の地下120kmほどの場所で生成されます。そこは、超高圧・超高温の世界です。天然のダイヤモンドは、そうした環境で長い時間をかけて生成されますが、HPHTプロセスは、この過程を地上で短時間に行ってしまう手法です。
1999年にアメリカのGE(ジェネラルエレクトリック)社らが発表したHPHTの手法によるカラー改変は、当時の技術では、天然のものとの判別をすることができませんでした。
現在では、HPHTによってつくられたカラーダイヤモンドも鑑別できるようになりました。しかしこの鑑定には特殊な専門機器を要するため、ごく一部の限られた専門機関でしか実施できません。