ダイヤモンドの価格はどうやって決まるのか?

ダイヤモンドの価格の指標
店頭に並んでいるダイヤモンドの価格は、どのようにして決められているのでしょうか?
金やプラチナの価格は毎日変動がありますよね。これは需要と供給の関係や、為替相場の影響を受けるからです。しかし、毎日の価格がきちんと表示されているので、一般の誰もがその価格を知ることができます。
ところが、ダイヤモンドをはじめとする宝石は、価格の相場がわかりにくいのです。金のように重さだけで評価できないからです。宝石は同じ重さでも、透明度やカラー、カットなどいくつもの要素が絡んできます。そのため、価格は石によって異なります。
ただ、あまり知られていませんが、実はダイヤモンドには価格の指標となる数値が存在します。この指標を決めているのが、ダイヤモンドの販売で有名なデビアス社です。デビアス社が毎月発行している「ラパポート・ダイヤモンド・レポート(RAPAPORT DIAMOND REPORT)」には、ダイヤモンドのグレードに応じた価格を一覧表にして発表しています。
この指標が現在、市場に出ているダイヤモンドの価格の基準になっています。デビアス社は1888年に南アフリカで創設した宝石会社ですが、その後、アメリカに拠点を移しました。以来ずっと世界各地へのダイヤモンドの供給を支配してきました。今でこそデビアス社を通さずに売買されるダイヤモンドもありますが、多くはデビアス社を通して世界中に流通しています。それはダイヤの需要に応じて生産量を調整する目的があるからです。供給過剰になると価格の低下を招いてしまいます。それを避けるためにデビアス社がコントロールをしてきたのです。
価格は需要や流行、為替相場にも影響される
ラパポート・レポートは会費を払えば、誰でも見ることができます。宝石店ではこのレポートを参考に販売価格を決めています。ただ、価格は他の要素も影響しています。
例えば、同業他社の販売価格を見ることもあります。また、このレポートはドル建てで表示されています。そのため、円高や円安といった為替相場の変動も、日本での販売価格に影響を与えます。さらに人気や流行も、価格に反映されます。例えば、小さなダイヤモンドでグレードの高いものより、少々グレードは下がっても大きな石に人気が出ると、そちらの方が価格は高くなります。
以上はダイヤモンドのルース(裸石)の価格の話でした。しかし、一般的に消費者が購入するのは、ルースよりは装飾品として加工されたものが多いのではないでしょうか?
その場合の価格は、ルースの価格と土台となる地金の価格、そして、ブランドの価値で決まるといわれています。ルースの価格は先述のようにラパポート・レポートが基準になっています。土台の価格も、素材によりますが、ある程度は推測できそうです。ただ、価格の根拠がわかりにくいのがブランドの価値なのです。
ダイヤモンドではありませんが、一例をご紹介しましょう。約4.5カラットのオパールのルースは約52万円でした。しかし、指輪に加工された後、カラットは若干小さくなりましたが、価格は472万円と9倍にも跳ね上がっています。土台の価値や加工賃を差し引いても、かなりの差がありますね。これはブランドの価値が上乗せされたからです。
装飾用のダイヤモンドを購入する際は、ルースの価格を知っておくと判断しやすいのではないでしょうか。