宝石の王様 ダイヤモンドができるまで

ダイヤモンドの誕生
ダイヤモンドの生成に関しては、まだ解明されていない部分がたくさんあります。ダイヤモンドの歴史は古く、紀元前7世紀ごろからインドの川床などで発見されていました。その後も長く川の砂から採られています。ただ、ダイヤモンドが川から採れるというわけではありません。これは近くの鉱床から鉱石が流れてきたものだったのです。その後、1870年ごろに物理学者がその川の近くにダイヤモンドの鉱床があることを突き止めたことから、本格的な採掘が始まりました。
では、ダイヤモンドの鉱床とは、どういったものなのでしょうか?ダイヤモンドはキンバーライト(またはキンバレー岩)という火山岩に含まれています。キンバーライトの大部分は7000万年前から1億2000万年前という古い時代、白亜紀と呼ばれるころに生まれました。しかし、キンバーライトのすべてにダイヤモンドが含まれているわけではありません。ダイヤモンドはマントル(地球の内部にある核の外側の部分)に高い圧力がかかることで作られます。ただ、圧力が高くても高温の状況下では結晶の構造がゆるい石墨になってしまうそうです。ダイヤモンドができる環境はマントル内の深さが120キロメートル、温度が1000度付近で、それより高温になると石墨になり、低温になるとダイヤモンドの結晶ができるということです。
ダイヤモンドが眠る鉱床は、古くて低温、しかも固いマントルだということがわかってきました。日本列島の地下のマントルは高温の部類に入るので、ダイヤモンドの産出は期待できません。ただ、今後の地殻変動などで、いつどう変わるかはわからないのです。
ダイヤモンドの価値
宝石の価値を決める要素には
・美しさ
・耐久性があること
・希少価値があること
の3点が挙げられます。では、ダイヤモンドはどうでしょうか?
まず、美しさですが、古代の人類はダイヤモンドには宝石としての価値をあまり見出していませんでした。それはあまりにも硬くて研磨ができなかったからです。そのために、少しの加工で輝きを発揮するエメラルドなどに価値が置かれていました。ダイヤモンドが価値を発揮するのは13世紀ごろになります。インドの鉱山で採れたダイヤモンドはベニスで加工され、そしてヨーロッパ各地に送られたのです。
またダイヤモンドは屈折率が高い石で、内部での光の反射が起こりやすい特徴を持っています。さらにブリリアントカットなどの加工をほどこすことで、さらに輝きが増していきます。耐久性に関しては、天然の物質の中では最高の硬度を持っています。酸などにも強いので、ジュエリーとして安心して使える石だといえます。
希少性に関しては、原石は決して少なくはないようです。ただ採掘の費用などを考えると、採算が取りにくい宝石なので価格が高騰しているという事情があります。いずれにしてもやはり宝石としては価値のある存在だといえるでしょう。