色を楽しむファンシーカラー・ダイヤモンドの魅力

めったに見られないファンシーカラー・ダイヤモンド
ダイヤモンドは無色透明がいいとされ、それを証明する鑑定書まであるほどです。しかし、天然のダイヤモンドの中に、ごくまれに色を持つ石が見つかります。一定以上の濃さを持つ石は「ファンシー」という名前がつけられています。GIA(アメリカ宝石学会)が鑑定するファンシーカラーには、ピンク、オレンジ、レッド、イエロー(カナリア色とも呼ばれる)、ブルー、グリーン、パープル、バイオレットの8色です。中でもブルーとピンクは大変珍しく、希少価値が高いダイヤモンドです。
アメリカのスミソニアン博物館に所蔵されているブルーダイヤモンドは「ホープダイヤモンド」と呼ばれる、45.5カラットもある大きなダイヤモンドです。色はファンシー・ダーク・グレーイッシュ・ブルーで、深いブルーであることがわかります。分析の結果、青い色を発する原因は、内包物であるホウ素だということがわかっています。しかし、ダイヤモンドの生成過程でホウ素が混入する地層がないことから、いつ、どこで含まれたのかは謎に包まれています。インドが原産のことが多いのですが、今後の研究成果が待たれるところです。
一方、ファンシーピンク・ダイヤモンドには赤を薄くしたような色から青みを帯びたパープル・ピンクや桜色まで幅広くあります。ただ、茶色やオレンジ色が混じったような色は、価値が下がるといわれています。純粋なファンシーピンク・ダイヤモンドは産出量が少ない貴重品です。
ファンシーイエロー・ダイヤモンドの多くは、南アフリカから産出されます。特にケープ州で見つかることが多いため、「ケープ」と呼ばれることがあります。南アフリカからは黄色を帯びたダイヤモンドがよく見つかるのですが、濃く美しいものは少ないため、「ファンシーイエロー・ダイヤモンド」として特別扱いされています。
世界的に有名なファンシーカラー・ダイヤモンド
先に紹介したホープダイヤモンドは、スミソニアン博物館に所蔵されていますが、他にも世界的に有名なファンシーカラー・ダイヤモンドは博物館や宝石会社が所蔵しています。
例えば、世界最大のファンシーピンク・ダイヤモンドは182カラットもあり、現在イランの宝石博物館に所蔵されています。また、ファンシーレッド・ダイヤモンドはファンシーピンクよりも数が少ない希少な石で、その中でもブラジルで見つかったファンシーレッド・ダイヤモンドはイギリスの宝石会社Moussaieff社が所有しています。オレンジ色のダイヤモンドも珍しく、南アフリカで発見されたファンシービビッドオレンジ・ダイヤモンドは5.54カラットもあります。きれいにカットと研磨され、オークションでは300万ドルの価格がつきました。現在はニューヨークの宝石商ハリー・ウィンストンが所有しています。
このようにファンシーカラー・ダイヤモンドは非常に珍しく、その中でも大きな石は博物館や有名な宝石商が所有していて、市場にはあまり出回っていません。しかし、それほど大きくないものは入手可能です。どこかで出会ったら、それが運命かも知れません。迷わずに購入するといいでしょう。