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ダイヤモンドの価値と業界をコントロールするデビアス社の戦略

ダイヤモンド デビアス 宝石の王様

ダイヤモンドの価値の高さの理由の1つに、ダイヤモンドは数が少なく希少性が高いからと多くの人が考えています。その考えは、正しいのでしょうか。実は、ある意味では正しいのですが、実際はダイヤモンドは決して希少な宝石ではないのです。そうであるなら、値崩れが起きてダイヤモンドの販売価格は、今ほどは高くないはずですが、ダイヤモンドの価格は決して値崩れすることなく今日に至っています。その理由は、一体なぜでしょうか。その秘密に迫ってみたいと思います。

ダイヤモンドの生産量の増加とダイヤモンドの価値の低下

ダイヤモンドの生産量は、1800年代の後半から、1900年代にかけて、莫大な資本投下や採掘技術の進歩で大幅に増加します。しかし、そのため乱売が起こり、ダイヤモンド採掘業者の経営が厳しくなる事態が生じました。

この状態を放置すると、ダイヤモンドの価値の低下が起こり、採掘業者にのみならず、ダイヤモンドの販売に関わる業界全体が、疲弊してしまうと懸念した会社がありました。それは南アフリカのデビアス社です。

デビアス社はさまざま対策を講ずることで、ダイヤモンド価値を維持し、生産量に伴ってダイヤモンドが多く売れるように戦略を立案し、実行し世界のダイヤモンドマーケットを牽引します。

ダイヤモンドは宝石のなかでも、一段高い価値が認められていますが、デビアス社が存在しなければ、ダイヤモンドの価値は他の宝石と同列程度か、場合によってはそれ以下の価値しかない宝石になっていた可能性があるかもしれません。

デビアス社が行ったダイヤモンドの価値維持の戦略

デビアス社は、ダイヤモンドが値崩れを起こすことで価値が下がらないように、まず過剰なダイヤモンドの生産が起きないように生産調整を行います。また、生産されたダイヤモンドを全て買い取り、販売することで価格が乱れないようにコントロールことも行います。そして、更に単に生産調整・出荷のコントロールを行うだけではなく、もっとも成功したキャッチコピーと言われる「ダイヤモンドは永遠の輝き」というコピーを作り、ダイヤモンドに対する憧れを強く女性に向けて発信します。

愛と結婚が永遠に続くようにという意味が込められて、婚約指輪はダイヤモンドという既成事実を世の男女に植え付けることに成功します。婚約指輪の良い点は、愛と結婚の証であることから、売り飛ばす人も少なく、中古品が市場にあふれて新しいダイヤモンドが売れにくくなることもありません。デビアス社は、そのほかにも、できるだけダイヤモンドを扱う業者が競争しないようにできる仕組みなどを作り上げてダイヤモンド業界で高いシェアを獲得し、業界を完全にコントロールし、ダイヤモンドの価値を高く維持し続けています。

デビアス社のダイヤモンド業界支配力の低下

デビアス社は、世界のダイヤモンドの80%あるいは90%を支配していた時期がありました。しかし、独占禁止法違反に問われたり、近年になってロシアやオーストラリアでダイヤモンドが生産されるようになると、これらの国に対して、デビアス社の支配力が弱くなり、そのシェアは約5割まで落ち込んできています。しかし、デビアス社が作り上げた仕組みは、今でも続き、ダイヤモンドの価値は高く維持されています。それは、デビアス社の戦略がダイヤモンドという製品の販売には極めて有効であったことを意味しています。

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