ダイヤモンド選びはグレーディング・レポートを確かめよう
GIAが発行するお墨付き
ダイヤモンドの品質を証明する基準として有名なのは、4Cでしょう。4Cとは、カット(Cut)、カラー(Color)、クラリティ(Clarity)、カラット(Carat)のことです。この4Cを定めたのが、アメリカのGIA(Gemological Institute of America)という宝石学の国際的な教育機関です。GIAはロバートM・シプリーが1931年に設立しました。それまでは宝石の鑑定は、鑑定者の勘や経験だけで行われてきました。しかし、宝石業界では天然の宝石だけでなく、合成品や養殖の真珠など天然でない物が出回るようになります。また、昔からある宝石以外に新種の宝石も発見され、混乱を招くようになりました。そこでロバートM・シプラーが宝石の鑑定方法を考案し、宝石に関する短期の講座を南カリフォルニア大学で行って、それを元にGIAを設立するに至ったのです。現在ではGIAはニューヨーク、東京、大阪、ソウル、バンコク、台北、香港、ロンドン、モスクワ、ムンバイなどに支部が置かれ、多くの卒業生を輩出しています。
そして、GIAはダイヤモンドの品質を表す国際的な方法として4Cと国際ダイヤモンドグレーディングシステムを考案したのです。このGIAが発行しているのが、ダイヤモンド・グレーディング・レポートとダイヤモンドドシエという鑑定書です。グレーディング・レポートは4C以外にダイヤモンドのプロポーション、仕上がり(研磨状態)や対称性、インクルージョンの図解などが表示されています。なお、ダイヤモンドドシエはグレーディング・レポートを簡素化したもので、0.15~1.99カラットまでのダイヤモンドに対して発行されています。
また、グレーディング・レポートのレポートナンバーはダイヤモンドのガードルに刻印されていますので、ダイヤモンドと鑑定書がバラバラになる心配がありません。グレーディング・レポートがあるということは、GIAが発行するお墨付きということなのです。
鑑定書と鑑別書の違い
さて、ダイヤモンドの品質を証明するものには、鑑定書と鑑別書があります。この違いをご説明しましょう。まず、鑑定書とは、グレーディング・レポートのことで、ダイヤモンドの品質や状態を詳しく書いてあるものです。4Cはもちろんですが、そのダイヤモンドの写真、カット法、大きさ(プロポーション)を図で記してあります。GIAが発行する以外に、他の機関が発行している鑑定書もありますが、やはり権威があるのはGIAのものだといわれています。GIAが定めた世界基準に則っていることがほとんどなのですが、他機関が発行する鑑定書の中には判定があいまいなところがあるからです。
一方、鑑別書はダイヤモンド以外の宝石に対しても発行されるものです。宝石の種類や天然かどうか、どんな処理がなされているかなどが記されています。ただ、鑑別書は品質を評価する項目が記載されていないケースがあります。クラリティが低い、カットがよくないといった場合は鑑定書(グレーティング・レポート)が添付されずに売られる場合があるので、購入する際には注意が必要です。
なお、グレーディング・レポートの内容を簡単に書いたソーディングというものもあります。小袋に入れてダイヤモンドに添えられているので、一見メモのように見えますが、これもれっきとした鑑定書です。鑑定書の見栄えを気にしない業者が、ダイヤモンドの品質を確認するために利用しています。
ブランドの証明書
宝石専門店が販売している宝石には、そのブランド独自の証明書や保証書を発行しています。たとえば海外ブランドでは、ティファニーやカルティエなどでは、販売時にすでにその会社(ブランド)がダイヤモンドの品質を十分にチェックし、確認しています。そのため、あえて鑑定書を付けずに保証書(証明書)を添付するケースがあります。
そんな場合、特に日本人は不安に感じるようですが、品質は保証されているので心配は無用です。それでも不安な場合は、発行してもらうといいでしょう。 宝石、特にダイヤモンドは高価なものです。見た目や金額だけでなく、品質をしっかり確認してから選ぶようにしましょう。