世界初のファスナーバックはエルメスから

世界初のファスナーバックはエルメスから

ファスナーを使用したバックの始まり

主な交通手段が馬車だった時代から車社会に変わろうとしていた時代。
未来の交通手段の移り変わりを早くから察知したエルメス3代目社長の
エミール・モーリス・エルメスは馬具作りからバック制作に取り組み始めます。
馬具作りには革を使います。職人の技術が革を使ったバックにも使えると考え、
1890年代に本格的なバック制作に乗り出しました。
1917年エミール・モーリス・エルメスはカナダでジップ・ファスナーと出会います。
フランスへ輸入をし、1920年、ファスナーの特許を取得。
当時ではとても革命的であり、世界初となるファスナー付きのバックを作製し、注目を集めました。
当時はファスナーの事を“アメリカ式万能閉じ具”と呼んでいたそうです。
ファスナーを用いたバックの製作を機に、シャネルがスカートにファスナーを使用。
以来、ブルゾンなどの衣類やバックにファスナーが使用されることが当たり前になりました。

世界初となるファスナー付きバック

世界初となるファスナーを用いたバックを制作したエルメス。
エルメスの高い技術力と先見の明、挑む精神によって生まれました。
そして、エルメスの鞄づくりには
もともと行っていた馬具作成の職人技が受け継がれていました。
鞄縫いの職人が活用していたのが「クジュ・セリエ」(クゥージュセリエ・クウジュセリエ)と呼ばれる製法です。
この製法は、1本の糸をクロスさせながらひと針ひと針職人の手によって
縫い付けていく製法で、熟練した技と時間を必要とします。
時代の流れとともに大量生産となっていく中でも、エルメスのバックはこのように職人の手によって作られ続けてきました。
だからこそ、エルメスのバックは特別な物であり、価値のあるものだと
エルメスというブランド価値を上げることにつながったのです。