アンティーク時計の修理・オーバーホールにおいて留意すべきこと

2016年5月24日

ロレックス GMTマスター

アンティーク時計の維持が大変な理由の1つに、修理・オーバーホールが挙げられます。
現行品であれば、日本ロレックスに依頼すれば概ね問題はないものの、年式の古いアンティーク時計の場合は受け付けてくれないことが多いなど、アンティーク時計ならではの留意点が数多くあります。
長く愛用していくために避けては通れませんので、この機会にアンティーク時計の修理・オーバーホールの実際をぜひ知っておきましょう。

アンティーク時計の修理・オーバーホールの注意点

アンティーク時計を修理・オーバーホールに出す際には、「交換パーツ」や「依頼先」など多くの点に留意する必要があります。また、現行品よりも「費用が高い」・「期間が長い」・「保証が短い」など異なる点が多々あります。その中から一例をご紹介いたします。

純正・社外パーツの交換

ロレックスのアンティーク時計を修理・オーバーホールする際に気をつけなければいけないのが交換パーツです。劣化した部品があれば交換を必要としますが、アンティーク時計に使用されている純正パーツの在庫はないと考えて良いため、必然と社外パーツの交換を強いられます。
目に見えない内部部品であれば社外に交換されても問題ありませんが、ベゼル・ダイアル・ハンドなど、目に見える部品が社外であればアンティーク特有の雰囲気が失われてしまいます。それゆえ、修理やオーバーホールをお願いする際には、外観を構成する各部品を交換するかどうか、しっかりと検討しておきましょう。

依頼先は販売店・時計屋が第一選択肢になる

日本ロレックスは、厳格な規則に基づき、修理・オーバーホールを実施しているため、数十年前の古いアンティーク時計は受け付けないことが多々あります。また、受け付けてくれたとしても、日本ロレックスは自社が認めたパーツを用いて修理・オーバーホールを行うことから、実施の条件として社外パーツの交換を強いられます。
このように、厳格な規則に基づいているだけに融通の利かない部分もあるため、アンティーク時計の修理・オーバーホールをお願いする際は、販売店か時計屋が第一選択肢となります。

費用が高額になる場合が多い

アンティーク時計というのは、現行品と比べて防水性・耐磁性・耐衝撃性・耐候性などが落ちるため、浸水や精度の誤差など故障の発生率が高いものです。それゆえ、修理・オーバーホール実施時にさまざまな部品の交換を必要とする場合が多く、さらに、現行品であればオーバーホールは5年間隔で良いものの、3~4年間隔で行う必要があるため、長い目でみても費用がかかってしまいます。
極力費用を抑えるために、使用後の手入れや雨・湿気の強い日には使用しないなど、さまざまな点に注意して使用していかなければいけません。

待機期間が長い場合が多い

アンティーク時計は仕様や構造が現行品と異なることが多いため、社外品に交換する場合でも各パーツの在庫がなく取り寄せなければいけない場合があります。また、状態次第では分解~動作点検・精度テスト・巻き上げテストなどに多くの時間を要します。それゆえ、販売店や時計屋にオーバーホールを依頼する場合、現行品であれば概ね2週間~1か月程度で手元に返ってきますが、アンティーク時計の場合は1か月~2か月程度かかってしまいます。部分修理であれば1週間~2週間程度で終わることもありますが、オーバーホールは気長に待たなければいけません。

保証期間が短い

アンティーク時計は現行品より耐久性が低く、いつ壊れても何らおかしくはないため、現行品(中古含め)であればオーバーホールに1年~3年程度の保証期間を設けている店舗が多いものの、アンティーク時計の保証期間は概ね6か月~1年です。部分修理の場合であれば、基本的に保証はつきません。

このように、ロレックスのアンティーク時計を修理・オーバーホールに出す際には多くの点に考慮しなければいけません。
また、特にオーバーホールにおいては、技術力が非常に重要となるため、販売店・時計屋に関わらず技術力の高い(信頼の高い、または保証期間が長い)店舗に依頼するようにしましょう。