途上国の発展と、ダイヤモンド
ダイヤモンドの産出国の中心は発展途上国です。 ダイヤモンド産業は、世界で1,000万人の雇用を生み出していると言われていますが、その中心は途上国なのです。
アフリカではレアメタルと同等の重要な収益源
特にアフリカでは、世界のダイヤモンドの約65%を産出しています。世界のダイヤモンドの産出額は年間130億米ドルですが、そのうち84億米ドル以上がアフリカということになります。開発途上国の多いアフリカの地で、ダイヤモンドはレアメタルなどと同様に、とても重要な収益源なのです。 アフリカの途上国の経済発展には、ダイヤモンド産業が大きく貢献しているというわけです。
内戦を深刻化させた紛争ダイヤモンドは今
一方、アフリカで産出されるダイヤモンド原石には、紛争ダイヤモンドと呼ばれる問題も指摘されてきました。内戦状態にある国で反政府組織がダイヤモンドを資金源にして武器を調達し、内戦を深刻化させていた問題です。
こうした問題は、関係諸国やダイヤモンド産業界の努力によって、大幅に減少しました。今では、世界に流通するダイヤモンドの99%以上が、紛争と無関係のダイヤモンドになっているといわれ、ダイヤモンドのほとんどは平和な国で産出されています。
これらの国々でダイヤモンドから得た収益は、生活、食料、水、医療、教育、道路の整備など、健全な国の発展に幅広く活用されています。学校建設などの教育分野や、病院建設などの医療分野に積極的にダイヤモンドの収益を活用する国もあります。ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、タンザニアなどです。
ボツワナの教育とダイヤモンド産業
1966年にイギリスから独立したボツワナは、当時は世界で最も貧しい国の一つでした。しかし、今ではアフリカで最も豊かな国の一つとして知られています。
独立後にダイヤモンドの採掘を本格化させたのですが、それが今では生産額で世界一を誇るダイヤモンド産出国となったのです。ダイヤモンドの輸出により、ボツワナの経済は世界でも類をみない速さで発展しました。
ボツワナでは輸出収入の76%がダイヤモンドによるものです。ダイヤモンド産業が経済を強く支える基盤となっていて、GDPの成長率は平均7%を維持しています。
ボツワナ政府は、教育と医療に特に力を入れていて、13歳までの教育は無償で受けられる制度になっています。初等教育以降は、教育費の95%を政府による援助でまかないます。
2001年度には、国家予算の実に38%が教育分野にあてられました。
こうした取り組みを可能にしているのが、ダイヤモンド産業というわけです。