深い谷底に転がるダイヤモンドを回収する伝説
宝石にまつわる伝説は世界中に数多くの残されています。
中でも、鷲を利用して深い谷底に転がっているダイヤモンドを拾い出すという伝説は、いくつもあります。
史上空前の超大国・マケドニア帝国をつくったアレキサンダー大王にもそうした伝説があります。
大王がインド遠征を行った際、深い穴の底にダイヤモンドを見つけます。大王は穴の中に羊の肉片を落とします。すると鷲が穴の中に入り、その肉片をつかんで巣に持ち帰りました。この際、肉片にダイヤモンドが刺さっているわけです。
大王は鷲の巣からダイヤモンドを回収した、という伝説です。
人類が最初にダイヤモンドの採掘をおこなった場所とされる、インドのゴダバリ川とクリシナ川の間の谷にも同様の伝説があります。ダイヤモンドが転がるその場所は、とても深く、険しい谷です。さらにその谷には猛毒を持った蛇が生息していて、人を寄せ付けません。まるでダイヤモンドを守っているかのようです。
そこで、鉱夫たちは谷底に羊の肉片を投げ込みます。それを狙っていた鷲が肉片を持ち帰ります。その肉片には、やはりダイヤモンドが付着しているのです。鉱夫たちは、鷲が持ってきたダイヤモンドを回収するというわけです。
古代ローマの「プリニウスの博物誌」にも、ダイヤモンドの採取方法としてそのような話が記述されているそうです。