急増した「押し買い」の被害にあわないために

「押し買い」と呼ばれる悪徳商法によって、ダイヤモンドや金などの貴金属類を搾取されてしまうケースが増えています。
「押し買い」ってなに?
「押し売り」という言葉は以前からよく使われましたが、「押し買い」というのは、一般家庭などを訪問してきた業者が、強引に貴金属などを安価で買い取ってしまい、持ち帰る商法です。
家庭にある様々な品物を言葉巧みに提示させて、その中から転売できそうな品物を、持ち主が納得していないにもかかわらず、極端な安値で買い取って持ち去ってしまうのです。
被害者は、恐怖感を与えられたり、性急な判断を執拗に迫られたりして、心理的な圧迫を受けて断れないケースや、認知症の高齢者であったりします。
持ち去られてしまう品物には、ダイヤモンドなどのジュエリーや金などの貴金属類をはじめ、着物、骨董品、自動車、バイクなどがあります。
被害の急増により法律が改正されました
国民生活センターに相談された「押し買い」の被害は、2010年から2011年の1年間で、なんと8倍以上に増加したのだそうです。当時、金の価格が高騰したことが、「押し買い」被害の急増の要因ではないかと考えられています。
当時は、「押し買い」を規制する法律は脆弱だったのですが、被害の急増により2013年に関連の法律が改正され、「押し買い」は厳しく規制されることになりました。自動車など、規制対象外の品目もあるのですが、ダイヤモンドをはじめとするジュエリーや金などの貴金属類は規制の対象です。
法改正では、まず、消費者から依頼されない限り、業者は訪問買取をすることができなくなりました。
次に、買い取られた品物にはクーリングオフ制度が適用されることになりました。買い取られてから8日以内であれば、業者が品物を転売した後でも所有権を主張できます。さらに、書面交付が義務づけられました。
実は、こうした買い取りの業務には、法改正の以前から古物商の許可が必要でした。ところが、「押し買い」業者の中には、無許可で買い取りを行っていたものも少なくないようです。
「押し買い」を未然に防ぐためのポイントご紹介
さて、「押し買い」の被害を未然に防ぐには、いくつかのポイントが指摘されています。
1.毅然と断る
買い取りをしてもらう気がなければ、キッパリと断ることが大事です。それでも退去しない場合には警察に連絡しましょう。
2.一人で対応しない
売るつもりのない品物まで強引に待ち去られてしまうことがありますので、できるだけ近所の人や家族に同席してもらいましょう。
3.書面をもらう
買い取り条件や買い取る品物の一覧を書面にしてもらい、控えを受け取るようにします。
4.古物商の許可を確認する
古物商には許可証の携帯が義務づけられています。必ず確認しましょう。
もし、怖い思いや法令違反を感じたら、警察や消費者センターに相談することが大事です。